空港の展望デッキや航空祭の会場でエアバンドレシーバー(無線機)を使用している人を見かけたりすることがあります
その際に
航空無線(パイロットと管制官の無線交信)って勝手に聞いても法的に問題ないの?
と思われた方もいらっしゃるかもしれません
今回はその疑問にお答えするとともに、エアバンドを受信する際の注意点についてもまとめてみました。
エアバンド受信に興味はあるけどまだチャレンジしたことがないという方に参考にしていただければ幸いです
日本においては法律を守ってエアバンド(航空無線)を受信する行為に違法性はない
日本国内において無線を使用する際の規則については電波法と呼ばれる法律により規定されています。
その電波法の中において
(秘密の保護)
第五十九条 何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(電気通信事業法第四条第一項又は第百六十四条第三項の通信であるものを除く。第百九条並びに第百九条の二第二項及び第三項において同じ。)を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。
電波法第59条より引用
とあります。放送は不特定多数に向けて送信されている電波ですが、航空無線は「管制官からパイロット(航空機)に対して」のように「特定の相手方に対して行われる無線通信」に該当します
つまり、この通信を聞くことで知り得た情報について他人にしゃべったり悪用してはいけないと、法律で決められているわけです。
またエアバンドレシーバーとしても人気のあるアイコムのIC-R15やIC-R6の取り扱いマニュアルにも以下のように記載があります
電波法についてのご注意
電波法第59条で「特定の相手方に対しておこなわれる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」とし、第109条で「無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。他局の通信内容を漏らし、これを窃用することは、固く禁じられています。電波法を守って正しくお使いください。
※ 放送以外の無線通信を傍受するときは、電波法違反とならないよう十分にご注意ください。
※ 使用できるのは、日本国内に限られています。
IC-R15 簡易マニュアル ⅲより
電波法についてのご注意
電波法第59条で「特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受して、その存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない」と通信の秘密について定められています。
※ 受信機の取り扱いには十分配慮して、電波法を守ってください。
※使用できるのは、日本国内に限られています。
IC-R6 取扱説明書 ⅲより
一方で、これらの無線交信を聞いてはいけないとは書かれてはいないので、個人的な趣味の範囲で飛行機を眺めながら無線を聞いたり、BGMとして航空無線を家で聞いたりして楽しむ行為は、日本においては自由なのです。
なお、無線を聞くことを「盗聴」行為であると認識する人もいますが、聞いてはいけないものではないので、法律に則って無線交信を受信する際は「傍受」という言葉を使うのが正しい表現になります。
第三者に漏洩しないという前提で無線を聞く行為は日本においては問題ありませんが、海外においては無線を聞く行為自体が「盗聴」、つまりスパイ(違法)行為となる国もあります。最悪、受信機の携帯だけでも摘発・逮捕となる可能性があります。その国の法律についてよく知らないままエアバンドを聞く行為はリスクとなりますので、海外旅行の際などはエアバンドレシーバーを携帯する行為は控えておいたほうが無難です。
無線を聞いて楽しむ行為(趣味)は世間的にはまだ認知されていない
航空機の写真を撮ったり、航空機に関する趣味を楽しむ人の間ではある程度認知されているエアバンド受信という行為ですが、それ以外の一般の人々にとっては無線を聞く行為というのはまだまだ奇異な目で見られることがあります。
したがってエアバンドレシーバーを使用する場所や、使用方法等には十分注意する必要があります。
エアバンドを受信する際は電波法を守る意味でもイヤホンを使用するのはもちろんのこと、長いアンテナを装着した状態でウロウロしたりするのは控えたほうがよい場所もあることを認識しておきましょう
以下の場所では航空無線を受信しながら航空機の撮影をしている人も多いため、イヤホンを使用すればあまり周囲に配慮せず自由に聞くことができる環境であるといえます
- 空港の展望デッキ
- 航空祭の会場(三沢基地を除く)
- 空港周辺の撮影スポットなど
逆にそれ以外の場所では受信する行為を奇異(あの人何にしてるんだろう的)な目で見られる可能性がありますので、法律を守って受信するとはいえ、あまり目立たないように心がけたり、場合によっては受信するのを控えておいたりするのが無難です。
また特に米軍の基地周辺ではエアバンドを受信していなくても、フェンス付近でウロウロしていると基地の憲兵からフェンスに近寄らないよう勧告されたり、職務質問を受けたりするケースもあり注意が必要です
- 一般的な街中
- ターミナルビル内
- 米軍基地の周辺(特にギャラリー※の少ないフェンス付近など)
※ギャラリーとはここでは日常的に基地を離発着する航空機などを見たり撮影したりしている人のことを意味しています
エアバンド受信が好きすぎてTPOをわきまえず行動して、奇異な目で見られていた(?)り、職務質問を受けた経験があるのは私の黒歴史です・・。いろいろな経験を経て、いまは以前よりはTPOをわきまえた行動(時と場合によって受信を控える)ができるようになったと思います。
空港や基地の撮影スポットや注意点などについて詳細を知りたいという方は以下のガイドもすすめです。
米軍基地のイベントでは受信機の持ち込みを禁止するところも
日本国内においては電波法が適用されますが、それ以外の国においては事情が異なります。
また、在日米軍基地内においてはアメリカの法律が適用されます。
それに加えて、基地の中ではアメリカ軍の規則もあわせて適用されることになりますので、無線受信機の持ち込みや使用には注意が必要となります。
以前の一般開放のイベントであれば問題なく無線受信機の持ち込みや使用が許されていたのですが、ここ数年は航空無線受信機(無線受信機)の持ち込み自体が禁止されることが多くなってきました。
在日米軍基地が受信機の持ち込みを規制する背景には外見から無線送信機能の有無の判別が難しいという理由もあるようです(もともと送信可能な無線機の持ち込みは禁止されていた)
主なイベント
- 横田基地フレンドシップデー(東京都)
- 三沢基地航空祭(青森県)
- 岩国基地フレンドシップデー(山口県)
上記以外の在日米軍基地のイベントでも無線受信機の持ち込みが禁止されている場合がありますので、事前に公式WEBサイトなどで持ち込み禁止物について確認するようにしましょう。
エアーバンド受信の際の注意点まとめ
法的側面
- 日本国内では、個人的な趣味の範囲でエアバンド受信を楽しむことは合法です。
- 電波法第59条により、傍受した通信内容の漏洩や悪用は禁止されています。
- 海外では国によって法律が異なり、エアバンド受信が違法となる場合があります。
- 受信時はイヤホンを使用しましょう。
社会的側面
- エアバンドの受信行為は一般的にはまだ認知度が低く、奇異な目で見られる可能性があります。
- 長いアンテナを装着しての受信は控えるなど、受信機の使用に際して周囲への配慮が必要な場所があります。
エアーバンドを受信している人をよくみかける場所
- 空港の展望デッキ
- 航空祭の会場(三沢基地を除く)
- 空港周辺の撮影スポット
エアーバンドの受信に際して注意が必要な場所
- 一般的な街中
- ターミナルビル内など
エアーバンド受信機の持ち込みが禁止されている場所
- 在日米軍基地のイベント(横田基地・三沢基地・岩国基地ほか)