航空自衛隊は報道発表にて2024年7月にフランス航空宇宙軍・ドイツ空軍及びスペイン航空宇宙軍との共同訓練を、8月にイタリア空軍との共同訓練を実施することを公表しました。
その一環として7月下旬(18日~26日頃)にフランス・スペイン・ドイツの戦闘機が日本にやってきます。
7月の飛来はドイツ・フランス・スペインの航空部隊が共同で世界を回りながら、世界の空軍などと共同訓練を行う「パシフィック・スカイズ24(Pacific Skies 24)」の一環によるものです。
またそれらとは別に8月初旬(5日~9日頃)イタリア空軍の戦闘機が日本にやってきます。
こちらはイタリア空軍が単独で来日するものと見られています。
2023年に続いてのヨーロッパの戦闘機の来日に注目が集まります。
そこで今回はそれぞれの部隊の動きについてまとめてみました。
航空自衛隊とイタリア空軍の共同訓練 ライジング・サン24(三沢基地)
航空自衛隊はイタリア空軍が青森県にある三沢基地に飛来し、航空自衛隊との共同訓練『ライジング・サン24』を実施することを発表しました。
『ライジング・サン24』の開催概要は以下のとおりです
実施日 | 8/6(火)~8/8(木) ※前後に展開・撤収期間あり |
実施場所 | 航空自衛隊三沢基地及び同周辺空域 |
空自参加部隊 | 第3航空団 F-35A ✕ 4 第1輸送航空隊(小牧)KC-767✕1 |
イタリア空軍 参加部隊 | ・F-35A ✕ 4 ・ユーロファイター戦闘機 ✕ 4 ・KC-767輸送機 ✕ 1 ・CAEW(G550) ✕ 1 ・C-130J輸送機✕1 |
訓練項目 | 各種戦術訓練 |
イタリア軍のサイトの情報によると、ライジング・サン24はイタリア空軍の太平洋地域への訓練ツアーである『Indopacific Jump 2024』の一環としての来日のようです。
6月下旬にイタリアを出発し、カタール・モルジブ・マレーシアを経由してオーストラリアに展開してピッチブラック演習に参加。
その後オーストラリアダーウィンで開催されるミンディルビーチでの航空ショーに参加した後、8/4にフィリピンを経由して、計画では8/5(月)に来日する計画となっています。
イタリア空軍のyoutubeページではオーストラリアでの演習の最新映像も紹介されています。
なおイタリア空軍は2023年8月、小松基地に飛来して航空自衛隊と共同訓練を実施しましたが、台風の影響で予定より2日遅れて来日しています。
ちなみにイタリア空軍といえば世界最高峰のアクロバットチームである【フレッチェ・トリコローリ】でも有名です
ヨーロッパで活躍する戦闘機である『ユーロファイター・タイフーン』について詳しく知りたい方にはこちらの書籍がオススメです。写真撮影時のポイントの一つである兵装についても解説があります。
パシフィック・スカイズ24とは?
パシフィック・スカイズ24はいくつかの空軍演習を組み合わせたもので、ドイツ空軍、フランス空軍、スペイン空軍が欧州諸国として参加します。
この演習は 5 つの部分に分かれており、世界中の 5 つの異なる場所で行われます。
7/8(月)~7/18(木) 米アラスカ州イールソン空軍基地(EIL/PAEI)
7/19(金)~7/25(木)
ドイツ空軍と・スペイン航空宇宙軍のユーロファイター戦闘機が千歳基地で
フランス空軍のラファール戦闘機が百里基地で航空自衛隊と共同訓練を実施
7/12(金)~8/2(金) オーストラリア ダーウィン空軍基地およびその周辺空域にて実施
ヨーロッパの部隊は7月22日から8月1日までオーストラリアで多国籍空戦演習
空自からも築城基地(第8航空団)のF-2A戦闘機 ✕6と浜松基地のE-767✕1が参加
7月22日から30日までハワイで共同訓練
8月7日から14日までインド空軍との共同訓練
ドイツ・スペイン空軍との共同訓練(千歳基地)
実施日 | 7/19(金)~7/20(土) ※前後に展開・撤収期間あり |
実施場所 | 航空自衛隊千歳基地及び同周辺空域 |
空自参加部隊 | 第2航空団 F-15 ✕ 4 |
ドイツ空軍 参加部隊 | ・ユーロファイター戦闘機 ✕ 8 ・A400輸送機 ✕ 3 ・A330MRTT 空中給油機 ✕4 ・A321輸送機 ✕ 1 ・人員 約180名 |
スペイン航空宇宙軍 参加部隊 | ・ユーロファイター戦闘機 ✕ 4 ・A400輸送機 ✕ 2 ・人員 約150名 |
訓練項目 | 各種戦術訓練 |
タイフーン戦闘機は7/19(金)に千歳基地に飛来し、スペイン航空宇宙軍、及びドイツ空軍の戦闘機の一部は7/20(土)に次の目的地であるオーストラリアに向けて離日しました。
なおドイツ空軍の一部のタイフーン戦闘機および、輸送機については航空自衛隊とドイツ空軍との共同訓練(ニッポン・スカイズ24)が実施される関係で7/25(木)頃まで千歳基地に滞在する模様です
航空自衛隊側の戦闘機が4機であるのに対し、ヨーロッパ勢は12機態勢。
滞在期間的に部隊交流がメインになると見られますが、北海道周辺海域の訓練エリアでどのようなミッションが行われるかについても注目が集まります。
こちらのサイトの情報によると来日に際してはスペインのユーロファイターもドイツ空軍のA330 MRTT航空機によって飛行中に燃料を補給されながら移動してくる模様です
なおスペイン軍では本演習を『PACIFIC SKIES』と呼んでいるようです
今回の来日にあたっては千歳基地のF-15戦闘機に特別塗装機が出現して話題となっています
他のファンの方のX投稿をご紹介させていただきます
ポストにアップされている戦闘機や輸送機の機体写真の中には今回来日するものも含まれてるかもしれませんね
パシフィック・スカイズ24ではEuropean Air Transport Command(欧州航空輸送司令部)も給油・輸送支援にあたっているようです
フランス空軍との共同訓練(百里基地)
実施日 | 7/19(金)~7/20(土) |
実施場所 | 航空自衛隊百里基地及び同周辺空域 |
空自参加部隊 | 第7航空団 F-2 ✕ 2 |
フランス航空宇宙軍 参加部隊 | ・ラファール戦闘機 ✕ 4 ・A400輸送機 ✕ 3 ・A330MRTT 空中給油機 ✕3 ・人員 約260名 |
訓練項目 | 各種戦術訓練 |
なおフランス航空宇宙軍では本演習を『PEGASE24』と呼んでいるようです
ラファール戦闘機は7/19(金)に百里基地に到着し部隊と交流を行ったあと7月20日に次の目的地に向かって離日しました。
フランスのダッソー社にて製造されている戦闘機『ラファール』について詳しく知りたい方にはこちらの書籍がオススメです。ラファールに乗り、ラファールを撮り、誰よりもラファールの真実を知る唯一の日本人、徳永克彦カメラマンが主執筆者となった異色の1冊です。
ドイツ空軍との共同訓練(ニッポン・スカイズ24)
実施日 | 7/22(月)~7/25(木) ※前後に展開・撤収期間あり |
実施場所 | 航空自衛隊千歳基地及び同周辺空域 |
空自参加部隊 | 第2航空団 F-15 ✕ 4 |
ドイツ空軍 参加部隊 | ・ユーロファイター戦闘機 ✕ 3 ・A400輸送機 ✕ 2 ・A321輸送機 ✕ 1 ・人員 約80名 |
訓練項目 | 各種戦術訓練 |
ドイツ空軍のユーロファイター戦闘機3機は19日に来日したあと、25日まで日本に滞在して、航空自衛隊のF-15戦闘機と割とガチ目の(!?)訓練も実施しそうですね
今回の来日に際して参考になりそうな情報など
筆者は来日情報を取得する際Xを活用しています。
今後も役立ちそうなポストについては筆者のXアカウントでも随時シェアしていきたいと思います。
エアバンドレシーバーを活用して情報収集
あらかじめスケジュールが公表されず、フライトレーダーに映らない軍用機の動向把握にはエアバンドレーバーが活躍します。
海外ではエアバンド受信がスパイ行為にあたり違法とされている国もあり、普段は聞き慣れないヨーロッパの戦闘機乗りの交信を合法的に日本で聞くことのできる機会はとても貴重です
戦闘機などの位置情報はフライトレーダー24などのサイトではきない可能性が高いので、エアバンドレシーバーが活躍しそうです。飛来時はTWR(タワー)もしくはRDR(レーダー)のUHF周波数は特に注意して聞いておきましょう。
交信内容が完全に理解できなくても、外国人風のこもった声(戦闘機乗りは酸素マスクをしているため)が聞こえてきたら、基地に接近してきているということがわかります。また、戦闘機は空中給油機と共に飛行し、随時支援を受けながら移動してくると思われるため、空中給油機であるA330 MRTTの動向にも注目です。
TWRの周波数を中心にモニターしておくと有用な情報が得られると思います。
三沢基地のエアバンド周波数
三沢TWR(タワー)は315.8MHzが主用波として使用されているようです
また地上走行や飛行前のクリアランス発出が行われるGNDの周波数も要チェックです
三沢GND | 118.65 275.8 |
三沢TWR | 118.1 125.3 236.6 236.8 315.8 |
三沢APP/RDR | 120.7 125.1 125.15 261.2 317.8 363.8 |
三沢RDR/GCA | 120.1 125.3 134.1 139.4 258.2 261.0 270.8 289.4 335.6 335.8 362.3 |
三沢DEP | 363.0 363.8 |
百里基地のエアバンド周波数
百里TWR(タワー)は323.8MHzが主用波として使用されているようです
また地上走行や飛行前のクリアランス発出が行われるGNDの周波数も要チェックです
百里GND(グランド) | 119.5 126.2 247.8 275.8 |
百里TWR(タワー) | 118.025 126.2 236.8 323.8 |
百里DEP(ディパーチャー) | 120.1 362.3 |
百里APP・RDR(アプローチ・レーダー) | 123.875 261.2 305.7 362.3 |
百里RDR・GCA(レーダー・ジーシーエー) | 125.3 127.975 134.1 270.8 289.9 300.4 306.2 310.8 321.2 335.6 |
千歳基地のエアバンド周波数
千歳TWRは304.5MHzが主用波として使用されているようです
また地上走行や飛行前のクリアランス発出が行われる千歳GNDの 275.8MHzや千歳CLR(クリアランス デリバリー)の322.2MHzも要チェックです
千歳TWR | 118.2 138.05 236.8 304.5 |
千歳GND | 121.7 275.8 |
千歳APP・RDR | 120.1 124.7 305.7 362.3 |
千歳GCA | 119.1 124.0 125.3 131.4 261.2 270.8 298.8 299.7 306.2 310.8 321.2 335.6 |
千歳DEP | 305.7 |
千歳CLR | 121.9 322.2 |
お出かけの際の注意点
今回の共同演習の一部は週末に開催されることもあり、百里基地や千歳基地の周辺は相当程度渋滞・混雑することが見込まれます。
警察による巡回や違法駐車の取り締まりも強化される可能性が高いですのでご注意ください。
ターミナルの駐車場についても、航空機利用者のみ等の使用制限などが実施される可能性があります。
茨城空港の公式サイトでは以下の案内が出されているのが確認できました
また私有地への違法駐車や場所取りは所有者の方への迷惑になるとともに、警察への通報につながったり、今後立入禁止などの措置につながる可能性がありますので注意が必要です(自戒も込めてですが・・。)
公共交通機関の利用や基地周辺の道路、駐車場事情についてもリサーチしておくことをおすすめします。
撮影ポイントなど各種情報収集には『自衛隊&米軍 全国エアベースガイド』がオススメです
ユーロファイターやラファール戦闘機がどのような兵装を使用するかにも注目が集まります。こちらの辞典ではヨーロッパで使用されているミサイルなどの兵装についても詳しく解説しています。
※当記事は筆者があくまで趣味の範囲にて各種プレスリリース、メディアなどの情報を統合し作成しているものです。また記事の一部には筆者の推測を含みます。各部隊の都合や情勢変化、天候などの事由により、今後発表内容に変更があったり、中止になったりする場合がありますのであらかじめご了承ください。
今後あらたな情報が入手できましたら記事を更新していきたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。