日本でダイナミックな戦闘機の機動飛行をみたい!
そんなときは航空祭に行くのが定番ですが
航空自衛隊の戦闘機は原則としてエアショーのデモ飛行で観衆の目前で背面飛行(上下逆さまの状態の飛行)を行うことは無いのをご存知でしたか?(安全上の配慮によるものだと思われます)
デモ飛行を専門とする航空自衛隊のブルーインパルスは背面飛行やループなどの飛行を行いますが、ブルーインパルスはT-4と呼ばれる練習機であり戦闘機ではありません
戦闘機のようなアフターバーナーを活用した爆速・ハイパフォーマンスな機体で背面飛行を含めた制約のない機動飛行を実施したチームが存在しました

それが青森県にある三沢基地を拠点とするアメリカ空軍が運用した
PACAF F-16 Demonstration Team (パキャフ F-16 デモンストレーションチーム)
です。
日本ではF-16の愛称は「ファイティング・ファルコン」で有名ですが、米軍では「パイバー(VIPER:毒蛇)」とも呼ばれ、PACAF VIPER DEMO TEAMと名乗ることもありました
PACAF F-16 Demonstration Teamとは
PACAF(パキャフ)とはPacific Air Forcesの略称で太平洋空軍と訳されます
米空軍の中でインド太平洋地域の区分を担当する部隊です

PACAF F-16 Demo Teamは米軍の主力戦闘機の1つであるF-16を用いてデモフライトを行い
アメリカ空軍への理解と太平洋地域での国際交流を促進することを目的として運用されていました
公式サイト(英語)ではそんなチームメンバーの構成やプロフィールについて紹介していました
最後にパイロットを務めたのはバンタムさん
Ethan”Bantam”Smith大尉
PACAF F-16 Demo Teamのパイロットは約2年の任務で交代して運用されてきました
ここ最近でその役割を担ったパイロットを振り返りますと、2018年5月頃~2020年5月頃までは“プリモ”さんことジェイコブ・インペリッツェリ大尉(Capt. Jacob Impellizzeri)。
2020年5月頃~2023年5月頃まで“シリウス”さん、ことジョサイア・ガフニー少佐(Maj. Josiah Gaffney)が務めました。
そして2023年6月から最後までショーのパイロットを担当されていたのが
イーサン・スミス大尉(Capt. Ethan Smith)です

スミス大尉のコールサインはバンタム(Bantam)さん
バンタムさんは2023年6月4日に開催された『防府航空祭』から登場し、2025年5月17日と18日には横田基地のフレンドシップフェスティバルにて公開されているイベントでの最後のデモ飛行(フライトパスのみ)を実施しました。
かつてチームのパイロットを務めたプリモ(primo)さんはサンダーバーズのパイロットに
2020年5月までデモパイロットを務められたプリモ(Jacob Impellizzeri)さんは、米本土に戻られたあと階級が『大尉:Captain(Capt.)』から『少佐:Major(Maj.)』に昇格。
その後米空軍が世界に誇るアクロバットチーム『サンダーバーズ(Thunderbirds)』のパイロットとして2024年のシーズンまで活躍しました。

写真はサンダーバーズ (Thunderbirds)公式サイトより
下の映像ではプリモさんの顔は見られませんが23秒あたりで映るパイロットのヘルメットに『primo』の文字が。
BGMが雰囲気にマッチしていて何度見ても鳥肌もののかっこいい映像です!
サンダーバーズ (Thunderbirds)はアメリカ海軍のアクロバットチーム『ブルーエンジェルス(Blue Angels)』と並び世界最高レベルのアクロバット飛行技術を有します。数年に一度行われるアジアパシフィックツアーの一貫で日本にも何度か飛来した実績もあり、ご存知の方も多いと思います。
ちなみに日本語で見られるサンダーバーズの紹介DVDは中古で購入することもできます

ディスカバリーチャンネル サンダーバーズ:音速の曲芸師たち [DVD]
デモフライト中の機内の様子
バンタムさんの前任者であるシリウスさんが高機動のGに耐えつつ、地上にいるsafety observer(安全監視員)と次に行う演目や高度・スピードなどについて陽気に無線交信で確認しながらフライトしている様子が見られます
実はランダムに機動をしているのではなく、演目に沿ってフライトをしているのです
すこしハイテンションで地上と無線でやり取りすることで緊張を和らげているのでしょうか
(じつはアクロバティックパイロットあるあるらしい・・。)
航空祭会場から見たデモフライトの様子
デモフライトの資格を持ったパイロットが、F-16戦闘機の性能を最大限引き出しながら行われるデモフライトは圧巻の一言でした
音量にご注意ください
惜別! F-16 デモチーム 2025年のスケジュール

三沢基地のF-16戦闘機部隊については2025年7月頃よりF-35A戦闘機に順次転換される計画となっており、2025年5月4日には岩国基地フレンドシップデーにおける最後のデモ(機動)飛行が行われました。
その後、5月17日と18日には横田基地のフレンドシップフェスティバルにて公開されているイベントでの最後のフライトパスを実施しました。
- 3/25-30 アバロン オーストラリアン国際航空ショー
- 5/4 岩国基地フレンドシップデー(前日予行と当日のデモフライトを実施)
- 5/10-11 オーサン基地 エアパワーディズ(韓国)
- 5/17-18 横田基地フレンドシップフェスティバル
- 5/21-22 アビアーノ基地(イタリア) ※
- 5/30 三沢基地 ※
※基地関係者のみ参加可能な特別イベントで実施



デモチームは2025年6月16日をもって活動を停止することが発表されました。(参照リンクはこちら)
F-16デモチームの過去のイベント参加実績はコチラをクリック
- 3/29-31 ウォーバーズ・オーバー・ワナカ (ニュージーランドのワナカ空港)デモフライト実施済み
- 5/18-19 横田基地フレンドシップデー(地上展示および航過形式のデモフライトを実施)
- 6/23 三沢アメリカンデー ※基地の外で行われるイベント
- 7/4 ライツ・オン・ザ・レイクイベント(三沢ビーチ) 技術的な問題で中止
- 7/20-21 アークティックサンダーオープンハウス(アラスカ州エルメンドルフ基地)
- 9/8 三沢基地航空祭
- 11/13-15 バーレーン国際航空ショー(バーレーン王国)
- 4/15 岩国基地フレンドシップデー デモフライト実施済み
- 5/20-21 横田基地フレンドシップデー 地上展示を実施
- 6/4 防府航空祭 デモフライト実施済み
- 7/22-23 米国アラスカ・イールソン基地のエアショー デモフライト実施済み
- 8/27 宮城県 松島基地航空祭 デモフライト実施済み
- 9/10 青森県 三沢基地航空祭 デモフライト実施済み
- 10/17-22 韓国 ソウル ADEX2023 デモフライト実施済み
- 11/13-11/17 ドバイ・エアショー2023 デモフライト実施済み
- 12/17 令和5年度 百里基地航空祭 デモフライトは中止もパイロットとスタッフは来場してファンサービス実施


チームの公式SNS
最後にチームの公式SNSについて紹介しておきます
日本やそれ以外の国々を回りながらその圧巻のデモフライトで人々を魅了してきた軌跡を見ることができます
PACAF F-16 Demonstration Team 公式 Facebookページ


チーム公式インスタグラム
https://www.instagram.com/pacafviperdemo/
PACAF Viper Demo 公式ツイッター
30年間にわたって米軍の威信と国際親善の象徴として活動してきたこのチームは、インド太平洋地域における米国の航空戦力を示す重要な役割を終えることになりました
米空軍は今後も三沢基地を重要な拠点としていく方針に変わりはなく、今後はF-16戦闘機に変わり配備されるF-35Aでそのプレゼンスを維持していくものと見られます
当ブログでも三沢基地における新生F-35Aデモチームの誕生を期待して今後の動向を見ていきたいと考えています。
ここまでお読みいただきありがとうございました!


コメント
コメント一覧 (1件)
[…] […]